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補聴器について

補聴器は約100年の歴史を刻んで現在に至っていますが、高齢社会を迎えた今日、その役割の必要性が大きくなっています。

現在、補聴器が必要とされる聴力障害者は日本全体で600万人と推定されていますが、実際に補聴器を装用している割合は20%以下とされており、その普及率は欧米に比べてまだまだというのが現状です。

そこで、日本耳鼻咽喉科学会では1994年、補聴器キーパーソン制を設け、補聴器の正しい普及に努めています。

ここでは日本耳鼻咽喉科学会北海道地方部会が作成した、補聴器相談医ガイドラインを主に引用して、補聴器の実際についてご説明します。

是非、参考にして下さい。

  • 1.補聴器の種類
    補聴器はその形状から箱型(ポケット形)、耳掛け形、挿耳形(耳あな形)、眼鏡形があります。 補聴器はマイクロホンから入力された音が増幅され、イヤホンから出力される信号処理系とそれを調整、制御する制御系から成っていますが、信号処理法として、アナログ、デジタル、制御方法として、アナログ、デジタルがあります。 また、増幅方法の違いによりリニア(線形増幅)、ノンリニア(非線形増幅)に分けられます。 最近、新聞広告でもてはやされていますデジタル補聴器とは、この信号処理をデジタル、制御をアナログで行ったものをいい、ともにデジタルで行ったものをフルデジタルといいます。 対象とする難聴のレベルから軽度、中等度、高度難聴用などがあります。 補聴器の形から1996年の日本での実態をみますと耳掛け形44%、耳あな形38%、箱形18%でしたが最近は耳あな形を希望する方が多くなっています。
  • 2.補聴器の適応
    どの程度の難聴になったら、補聴器を装用したらよいかという明確な基準はありませんが、一般に聴力検査で40db以上の中等度の聴力障害に入った頃が適応とされています。 日常生活の中できこえに不自由を感じたら試しに装用(試聴といいます)してはいかがでしょうか。そこで先ず自分の聴力がどの程度を知らなければなりませんね。 耳鼻咽喉科を受診して外耳道、鼓膜の状態を診てもらい聴力検査を受けます。 その結果、難聴の程度、難聴の原因、治療による聴力改善の可能性等がわかります。 その上で補聴器の適応があると説明されましたら専門店への紹介状を書いていただいて補聴器店を訪問されてはいかがでしょうか。
  • 3.補聴器店を訪れる前に
    補聴器の販売店は各地にありますが所によっては専門店ではなく一般家電品と同様に扱われている店もあります。 補聴器は極めて専門性の高いものとの考えから1993年、当時の厚生省の指定法人であるテクノエイド協会による第1回認定補聴器技能者試験が行われ、以後毎年実施されています。 販売店に関しましてはこの認定補聴器技能者が登録されており、かつ、補聴器特性測定装置、補聴効果評価装置があり簡単な修理が行えることなどを条件に、認定補聴器販売店が登録されていますので補聴器を求める際にはこんなことも参考にして下されば良いかと思います。
  • 4.補聴器の効果についての予備知識
    補聴器の利点と弱点について 耳鼻咽喉科を受診して補聴器装用をすすめられた方に予め補聴器の利点と弱点について知っておいていただいた方がよろしいかと思います。 難聴のある方が補聴器を装用すれば、以前と同じようにきこえるようになると、補聴器に過大な期待を持たないで欲しいということです。これがかけるとすぐ見えるようになる眼鏡との大きな違いです。 補聴器を使いこなせるようになるには、時間と経験と、そして何よりも大切なことは本人の「音を聴きたい、会話をしたい」という強い意欲が必要です。補聴器を自分自身のものにするには本人の努力と周囲の人々の理解があって可能となるのです。 (1)補聴器の利点(効果が期待できる場面) 1. 静かな所での一対一の会話 2. 近くからの話しかけ 3. ゆっくりとした会話 (2)補聴器の弱点(余り効果が期待できない状況) 1. 複数の人がいる話し合いの場面 2. 講演会など話が遠くでなされている場面 3. 病院の呼び出し 4. バスの車内案内 5. 駅での放送 6. 電車や自動車の中での会話 7. テレビのついている部屋での会話 8. テレビの中の会話 9. 早口の人の話 このように補聴器は万能ではありません。そのことを頭に入れて補聴器専門店を訪れていただきたいと思います。 弱点を多数挙げましたが使い続けるうちに学習効果によって補聴効果も次第にあがってかなり聞き分けられるようになります。 (3)補聴器の適合(補聴器を難聴耳によく聞こえるように合わせること)    補聴器専門店を訪れると以下の検査を最小限度は行います。   1. 純音聴力検査:聴力障害の程度を検査します。   2. 語音聴力検査:純音聴力検査と同様にレシーバーを通して音ではなく、     言葉を聴いてもらいどのくらいことばを聞き分けることができるかを検査します。   3. 不快域値検査(不快レベル検査):この検査は大きな音を聴かせてうるさいと     感じる域値をも求めます。補聴器に入る音をどのレベルまでにするかの決定の参考します。     余りに大きな音が耳に入ると聴力障害を起こしますのでこれを防ぐための検査です。 以上の検査をして補聴器適否<ホチョウキテキヒ>の判断、装用耳の決定、補聴器の機種の選択、利得や音質の調整等を行います。 初日はおおまかな調整になります。そしてその補聴器の貸し出しを受けて最低でも1~2週間は試聴してもらいます。 2・3日装用して止めてしまい、「補聴器は駄目だ」という方が結構おられますが、”何が駄目だったのか”、”どのような場面で効果がなかったのか”を次回の調整時に話をして再調整してもらい、さらに試聴を続けていただきたいと思います。 このような調整を時には機種を代えて、3カ月位まではやっていただきたいと思います。諦めないで根気よく頑張って欲しいと思います。 このように、必ず補聴器の貸し出しと調整を繰り返すという手順を踏んでくれる専門店を選んで補聴器の装用を決めて下さい。 1度の補聴器店訪問で装用を決めないことです。 そして先に述べましたような諸検査をしないし、貸し出しもしないでその日のうちに補聴器を売り込もうとする店からは補聴器は購入しない方がよろしいかと思います。
  • 5.補聴器装用後の留意点
    (1)定期的聴覚管理 補聴器を装用することによって、その増幅音が原因となって既にある聴力障害を増悪させるかは明らかではありませんが、文献的には聴力を悪化させるとの報告もあります。 従って装用後は定期的に耳鼻咽喉科で聴力の変動を監視する必要があります。初めの1年間は3ケ月に1度は聴力検査を受け、その後は1年に1・2度は検査を受けることが望ましいと思います。 もし悪化の傾向がみられる場合は装用時間や出力の制限、時には治療も必要になることもあるのです。 更に補聴器装用後、年数を経ますと加齢現象としての聴力障害の進行も当然ありますのでその時、その時の聴力に応じて補聴器を調整する必要も生じますので、定期的に耳鼻咽喉科、補聴器専門店で相談してみましょう。 (2)装用者自身が注意すること   1.補聴器はショックに弱いので落とさないように注意してつけましょう。     畳の上、じゅうたんの上などに座ってつけると安全です。     洗面所や道路ではつけたり、はずしたりしないようにしましょう。   2.直射日光のあたるところ、ストーブのそば、お風呂場、     加湿器のそばには置かないようにしましょう。   3.補聴器をぬらさないようにしましょう。     入浴時、洗顔時にははずし、雨にあたらないようにしましょう。   4.持ち運びは小箱に入れましょう。   5.使用しない時はスイッチを切り、外出のの際は予備の電池を持ちましょう。
  • 6.補聴器装用者と会話をする時の注意点
    補聴器を装用している人は普通の人と同じようにはきこえません。 そこで健常者はゆっくりと、ことばを区切るとわかり易くなります。 周囲の雑音が大きいと聴きにくくなりますのでできるだけ静かにして相手の顔を見てお話し下さい。 特に大声でお話する必要はなく、身振りをつけるともっとわかり易くなります。

補聴器相談

当院では開院以来30年程、毎月1回ですが聴力障害を有する患者さんに補聴器を装用すべきか、相談する日を設けています。

補聴器の適応があるかどうかいくつかの検査を行って、その結果を検討し、2名の補聴器技能者と共に補聴器適合試験を行い1ヶ月間の試聴(補聴器を実際につけて、その効果を実感していただくこと)をしてもらいその効果を評価します。

うまく調整されていないようであれば再調整して更に1ヶ月間試聴してもらい、補聴器を装用するかどうかを患者さんと相談して決めています。

既に補聴器を使っておられる方の補聴器の適合具合がどうかの判定、評価も行っています。

補聴器は高価なものが良いというものでは決してありません。

患者さんに良く適合するものを選ぶべきで、価格ではありません。

当院での補聴器相談日は、毎月第3火曜日の午前10時から予約制で行っていますので、初めての方は電話で予約受付けをされて、指定されたお時間に受診してください。

補聴器とはどんなものかなという軽い気持ちで一度試みてはいかがでしょうか。

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